晩秋の小原村を訪ねて  2000.11
                               セルゲーエヴァ・オリガ
 私は子どもの頃、日本は地の果て、太陽が昇ってくる海の彼方にあると思っていました。この国は、私にとってはいつも謎であり、おとぎの国であり、興味深い遠くの国でした。ずっと後になって、芥川龍之介や安部公房の小説、巨匠黒沢明の映画から、また、短くて鮮やかな俳句から日本とその文化、風習についての知識がモザイクのようにできあがりました。
 今、出会いと新しい発見を期待して、あなた方の国に再びやってきました。日本は古くからの伝統を守りながら同時に新しい科学技術を導入して急速に発展する能力があるということに、私は驚かされました。
 日本の方たちとお付き合いする中で、親切で陽気な人たちに出会いました。最近、山里にある(ほんとうに、こちらは何処にでも山や丘がありますね)小原村を、ユーラシア協会のグループと訪ねました。それはとても面白く、意義深いものでした。この村では、芸術的な紙を、昔ながらの技法で木の樹皮から作っています。私たちは始めに樹皮の収穫とそれを紙パルプに精製する方法を映画で見ました。
 此処では、自分の手で何かの作品を作らせてもらえるのが気に入りました。一見したところでは、何の造作もないようでしたが、実際には技術が必要であり、素材とその特性の理解が必要なのです。独特の技術で紙を扱う作家の春日井さんの工房を訪れたのは興味深いことでした。私には、彼の絵は自然についての詩に似ているように見えました。
 晩秋の美しい一日は、私の記憶に残りました。紅葉の山々、初冬に咲く春のような色鮮やかな四季桜。
 最後に私たちは、難波先生の山荘で暖かいお茶をいただき、みんなでロシアの歌を歌いました。

  紙すきに挑戦する核融研のロシア人達(右端がオリガさん)